Sacred Japan - Myth or Reality?

作家の言葉
「日本の伝統ーー神話か現実か」    Sacred Japan -- Myth or Reality?
                       
20年以上を日本で暮らしてみて、日本の精神性をカメラによってどの様に
とらえることができるか、と自問する自分を見出だしている。自然、伝統、
宗教と新しい日本との関連は何か。
 私は常に、神社仏閣、家屋や田畑その他の聖なる場所にある雰囲気と活力
に魅せられてきた。それらの自然に対する解放性と閉鎖性とが私の魂をかき
たてるのである。時にそれは視覚的な魅力であり、時には匂いや音である。
これらの写真は、私の日本の心の風景を蘇らせるための個人的な旅の記録で
ある。
 しかしこれらは、私が出会い発見した様々な場所の単なる記録ではない。
そこにいたことによって私がどの様に感じたかを反映しているのだ。瞑想や
祈りや祭りを観察し、私自身それらを実行することによって、体験が私の心
の目を通してフィルターにかけられる。同時に日本人が感じ、信じ、体験す
ることを私は理解する。そして私が感じるのは、日本人の意思表示と自己の
運命への服従に対する、美徳と言われる曖昧な態度である。一体何が現実で
何が神話なのだろう? 
 その日本の精神の曖昧な像を忠実に映し出すには、ピンホール・カメラに
よるおぼろげな像が適切である。ピンホール・カメラは神話と現実を融合す
る微妙な技法をもっているからである。そこで私はこの一連の写真をピンホ
ール・カメラによって撮影した。ピンホール・カメラによってとらえられた
現実の世界は、時として幻想的に印画紙の上に現れる。長い露出によって、
結果はしばしばチャンスと運命に委ねられる。そのために、この原始的なカ
メラは、日本の精神的伝統の神話と現実に焦点を与えるのに適当な方法であ
ると私は信じている。

エドワード・レビンソン  1996

Edward Levinson (1996-2002)